■メカニック技術資料-1

メカニック技術資料(機械保全資格取得時資料抜粋)で参考までにお使いいただければさいわいです。社員教育用に使用しています。随時更新しています。

 材料材質に関して

   一般鉄鋼材料の種類と特徴




   穴と軸の嵌め合い公差表




 ステンレスの種類と特徴


現在、日本で使用されるステンレスは、JIS規格が一般的で、各ステンレスの表記はJIS記号で【SUS□□□といったように表現します。

(厳密にいうとSUS以外のステンレスも存在します)。SUS【Steel Use Stainlessの略で、□□□の部分は3ケタの数字が入ります。

呼び方は「サス」と呼び、例をあげれば、SUS304は「サス・サンマルヨン」という呼称になります。

 

ステンレスの大きな分類としては以下の5種類が存在します。

❶ マルテンサイト系

❷ フェライト系

❸ オーステナイト系

❹ 析出硬化系 

❺ オーステナイト・フェライト系


❶マルテンサイト系の特徴

マルテンサイト系は焼入れ性が良いという特徴があり、硬さや強度を向上させることが可能です。摩耗や撓み・歪を嫌うようなベアリングやタービン、

工具、ボルト・ねじ類、ブレーキディスクなどに使用されることが多いようです。

  「ステンレスは磁石にくっつかない」というイメージを持っている人もいるかと思いますが、それはオーステナイト系の話であって、フェライト系やマルテンサイト系は磁石にくっつきます。そんな特徴をもって、磁石にくっついたからといってSUSではないということでもあります

  しかし一方で、ステンレスの中では一番錆びやすいという性質があります。

空気中では錆びにくいですが、雨水が掛かるような場所などの耐食性は十分ではない為、「錆びないことに期待をして選定する」場合には注意して

ください。また、溶接性が悪いというところにも注意する必要があります。


◆SUS410

SUS410の最大の特徴は、焼入れをすることができるという点があります。焼入れをすることで、材料を硬くかつ強度を高めるが可能となります。

摩耗や刃こぼれがしにくいため、刃物やドリル、タッピンねじによく使われていたりします。機械加工性が良いという特徴もあるため、他にも様々な

用途に使用されることがあります。


◆SUS440C

熱処理を施すことによって、ステンレスの中でも最も硬さ・強度をを特徴に持つ材料です。その為、摩耗を嫌うようなベアリングの材料や、摺動部の

受けとしてよく使用されています。似たような部品にSUS440BSUS440Aがありますが、硬度の観点から言うと、440C440B440A

耐摩耗性および靭性の観点から言うと、440A440B440Cとなります。

❷フェライト系の特徴

フェライト系は、強度や耐食性が、マルテンサイト系やオーステナイト系の中間ぐらいという特徴があります。ある程度強度があり、ある程度硬さが

あり、錆びにくいという特徴があります。又、応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking)という腐食形態を起こしにくいという特徴がある為、

応力腐食割れが想定される条件で使用する際には、フェライト系が適しています。応力腐食割れとは、金属の腐食形態の一つで、材料に応力

がかかっている状態で腐食環境にさらされると材料が割れてしまう現象です。応力腐食割れでは、材料にかかる応力が少ないにも関わらず割れて

しまいます。耐食性については、少し湿気がある程度の環境なら錆びずに使用することが可能です。そのため「オールステンレスキッチン」という

キッチンに使用されるステンレにフェライト系が使用されています。


◆SUS430

SUS304と並んで、ステンレスの中では使用頻度が一番多いステンレスです。価格も安価ですので、日用品などに使用されることも多いステンレス

です。耐熱性に優れていることから、放熱器・ヒーターなどの暖房機器にも使用されています。但し、SUS304と比較すると錆びやすいという特徴が

あります。

❸オ-ステナイト系の特徴

オーステナイト系は、クロムとニッケルの合金鋼です。ニッケル成分が入っている為、一般的な鉄材や他のステンレスと比較すると高価ですが、耐食性

が高く、機械加工したらすぐに使用可能な材質(塗装等による防錆処理が不要)というメリットがあります。全ステンレスの製造量の半数以上が

このオーステナイト系であることから、入手性も容易となります。納期が急ぎの場合は、原材料が入手しやすいオーステナイト系を使用する事が良い

かと思います。オーステナイト系は磁石にくっつかないという性質があるため、磁石を使った工具等を使用する際には注意が必要です。又、ステンレス

の中で最も一般的なSUS304などもありますが、オーステナイト系の一部は特定の条件で応力腐食割れが発生する可能性があります。応力腐食

割れを嫌う場合には、フェライト系をお勧めします。


◆SUS304

ステンレスの中で最も使用頻度が多く、一般的なステンレスです。磁石にはくっつきませんので、SUS304で製造されたボルト・ねじは、磁石付きの

ドライバーにくっつきません。そのため、「ステンレス=磁石にくっつかない」というイメージを強く持たれている人も多いです。また磁石にくっつかないため、

組立の調整をする際に、マグネットスタンド+ダイヤルゲージが使えません。

そんなときは、SUS304の上に鉄板を挟んで固定し、その鉄板にマグネットスタンドを固定させるようにすると良いです。機械加工については、SUS304

は粘っこく、加工がしにくいというデメリットがあります。

溶接が不要で、機械加工をするだけであれば、後述するSUS303の方が安価で加工が容易です。


◆SUS304L

L」というのはLow Carbon(低炭素)」という意味があります。低炭素にすることによって、粒界腐食と呼ばれる材料の腐食形態への耐性を

向上させたものです。ある程度の大きさの粒(結晶)がぎっしり詰まったような構造をしております。この粒と粒との境目に沿って材料が割れてしまう

ような現象を「粒界腐食」といいます。粒界腐食は、炭素成分が多く入っているほど発生しやすい。


◆SUS316

SUS316はモリブデンが含有されているステンレスになります。モリブデンは高価な為、材料の価格が高くなりますが、「孔食」と呼ばれる腐食への耐性はSUS304よりも上です。その為、沿岸地域や海中など、非常に錆びやすい環境で使用する機械で使用することができます。酸系薬液にも強いという特徴のあるステンレスです。高温環境への耐性もあるため、発電設備の熱交換部品等に使用されてします。めっき装置には多用したい面もあります。

 

SUS316の炭素成分を減らし、更に耐粒界腐食した材料にSUS316Lというものもあります。


◆SUS303

SUS304に比べて切粉がきれいに出るので、削りやすい(機械加工がしやすい)特徴があります。SUS304は熱膨張しやすく、さらに熱が逃げにくい

で問題であった為、公差が入る場合に適しています。但し、溶接は出来ませんので加工時の注意が必要です。

❹析出硬化系の特徴

熱処理により硬化できないという特徴のオーステナイト系を改良し、熱処理によって硬化できるようにしたステンレスです。耐食性はオーステナイト系には

及びませんが、マルテンサイト系やフェライト系に比べると高い。分類の仕方によっては、析出硬化系もオーステナイト系の一種になります。JISでは種類

が少ないのですが、海外品ではたくさんの種類があります。


◆SUS630

分類によってはマルテンサイト系に属しています。切削加工性はSUS304と同等ぐらいですが、熱処理により強度を高めることが可能です。錆びに強く、硬さが必要である場合に適しており、シャフトやばね材、エンジン、航空機などにも使用されています。酸系の薬液にも強い特徴があります。また、溶接性も良好です。

❺オ-ステナイト・フェライト系の特徴

オーステナイト系とフェライト系の両方の金属組織を持つステンレスです。

 

一つの材料の中に二つの組織を持つようなものを「二相」ということから、別名「二相系」とも呼ばれます。


◆SUS3291J1

海水に強く、応力腐食割れへの耐性も高いことから、海中で使用する部品に使用されます。応力腐食割れに対する耐性も、SUS304より上です。

耐腐食性のが高いのと引き換えに、材料の価格は非常に高価です。

■総称

ステンレスと言っても、その種類は200種類以上あります。ステンレスはその結晶構造によって、大きく5つに分類されます。強度・硬さが必要な場合は、

マルテンサイト系、耐食性が必要場場合はオーステナイト系を選択すると良く強度と耐食性を必要がある場合、析出硬化系や2相系を選択すると

良く、安価で加工性を求めるのであれば、フェライト系を選択することが望ましい。



 ●管用ねじの種類

■管用ねじの種類

管用ねじは、大きく分けると「管用テーパーねじ」と「管用平行ねじ」の2種類です。更にそれぞれ雌雄があり、おねじ(外側にねじが付いているもの)とめねじ(内側にねじがついているもの)を組み合わせて使用します。

❶管用テーパーねじ

円錐形のねじで、先端に行くほど細くなります。規格番号はJIS B0203。水密性・気密性が高く、適正なトルクでねじ込むとがっちりと密着するため、水道管や真空配管 などの配管に使用されるものです。

おねじをISO規格で「R」(旧JIS規格ではPT)、めねじをISO規格で「Rc」(旧JIS規格ではPT)と表し、この記号にサイズを付け加えて「R1/8」などと呼びます。

 

通常は「R」と「Rc」を組み合わせて使用するのですが、テーパーおねじに対して平行めねじを組み合わせる場合、ISO規格で「Rp」(旧JIS規格ではPS)で表される平行めねじを使用しましょう。「Rp」は管用平行ねじとは寸法許容差が異なり、別物として扱われるので注意が必要です。

❷管用平行ねじ

円筒形のねじで、先端まで均一の太さ(平行)になっています。規格番号はJIS B 0202。主に機械部品の接合などに使用されるものです。 

おねじ・めねじ共にISO規格で「G」(旧JIS規格ではPF)と表し、更にサイズを付け加えます。おねじの場合はサイズの後に、更に有効径の許容差による等級「A」もしくは「B」を付け加えるので、「G1/4B」などと呼びます。

管用平行ねじのインチ呼びと代表寸法管用平行ねじの場合も、管用テーパーねじと同様です。ちなみにインチをミリで換算した場合、1/83mm1/46mm3/810mm1/213mm3/420mm125mmとなります。

管用平行ねじのインチ呼びと代表寸法管用平行ねじの場合も、管用テーパーねじと同様です。ちなみにインチをミリで換算した場合、1/83mm1/46mm3/810mm1/213mm3/420mm125mmとなります。

管用平行ねじの場合、管用テーパーねじと違ってねじが平行なのでどこまでも止まることなくねじ込んでしまいます。そのため、配管にはあまり使われません。しかしОリングやパッキン、シールテープなどを使って止まる位置を作ってあげるという使い方もできます。 めねじの方がおねじよりも長い場合はおねじ

の根元に、おねじの方がめねじよりも長い場合はおねじの先端にシールする。


メ-トル並目ネジ基準寸法


六角ボルト規格表


キャップスクリュ-ボルト CSB


SGP配管用炭素鋼鋼管規格